台湾・台北の台北世貿センターにて、タグボートの作家26名による展示をしてきた。
先日10月18日~21日は同じ施設でART TAIPEIが開催されており、多くの来場客でにぎわっていた。
ART TAIPEIは1992年に始まり、今年で26回目となる台湾でもっとも歴史のあるアートフェアである。今年はアジアを中心に141のギャラリーが集まった。
Taipei Auction Center は台北世貿センターにオフィスを構え、ギャラリースペースにてオークションや作品の展示を年間を通して開催している。
ここには日本のコレクター集団「ワンピース倶楽部」の台湾支部もあり、台湾でも熱量のあるコレクターたちが集う場所となっている。
昨年、タグボートはTaipei Auction Center と手を組み、合同で展覧会を開催し日本と台湾の作家をお互いの国で拡販すべく取り組んできた。
「Contemporary Art Salon」は、コレクター向けに新進気鋭の作家による作品の展示販売の機会としてシーズンごとに開催されており、今回の秋季はTaipei Auction Center とタグボートの共同でグループ展を開催した。
台湾では昨年から「台北当代(Taipei Dangdai)」という新しいアートフェアが始まり、アート熱がますます高まっている。
しかし、台北当代はアートバーゼル香港の前身であるART HKのエグゼクティブディレクターと同じマグナス・レンフリューが発起人として設立した、世界のメガギャラリーを含む欧米のギャラリーが優位なアートフェアであり、現地に元からあったローカル志向なギャラリーは比較的出展が少ない。
台湾では今、顧客もギャラリーの質も、変化の時を迎えている。
これまでのクラシックな作品をを中心に取り扱うギャラリーは弱まり、欧米のやり方に目を向けたギャラリーが力を伸ばしつつある。
ART TAIPEIは伝統的なアートフェアということもあり、台北当代と比較するとよりクラシックな作品が揃っている。グレートチャイナとグローバリズムの影響を受けずにローカリズムの方向に進んでいるのだ。
日本最大のアートフェアであるアートフェア東京では、現代アートだけでなく古美術も多く出品されている。
ART TAIPEIではアートフェア東京のように古美術とまではいかないが、近代以前の作品もいまだに扱っているという点で似通った雰囲気を持ち始めている。
とはいえ、ART TAIPEIは古くからの台湾のアートファンの心をつかんでいる。
また、タグボート主催の台北ギャラリーツアーを今年も開催した。
台湾では都市部に多くのギャラリーがあり、アートフェアも開催されるこの時期は作家が最新のトレンドを知る絶好の機会だ。
1)耿畫廊Tina Keng Gallery
2)白石畫廊Whitestone 内湖店
3)索卡芸術 Soka Art
4)尊彩藝術中心LIANG GALLERY
5) 双方藝廊 DOUBLE SQUARE GALLERY
6)誠品畫廊 ESLITE GALLERY
7)大未來林舍畫廊 Lin & Lin Gallery
8)亞洲藝術中心| Asia Art Center
9)也趣藝廊- Aki Gallery
1)~5)のギャラリーは内湖という台湾の開発区に位置しており、その他も中心地に点在しているので、大型車を貸し切って複数人で回れば、これらのギャラリーをたった一日で訪れることができるのだ。
どのギャラリーもかなり広々とした空間を所有しており、大型作品やインスタレーションなどを大胆に展示していた。
やはり台湾の中でも力のあるギャラリーということもあり、絵画から立体、映像やVRまで、手法も幅広い。
これはART TAIPEI でも見られた傾向だが、それぞれのギャラリーがコマーシャルの場でありながら「見せるためのアート」に非常に重きを置いている。
映像やメディアアートなど、日本では「買う」作品としての意識が希薄な技法の作品も取り扱っている。
マーケットのトレンドを意識して展示しているのだ。
アートフェアもギャラリーも、着実にショールーム化している。アートフェアでも映像や大規模なインスタレーションを主催者が増やしているのだ。
台湾アートマーケットでは、具体的なビジネスの場と発信の場を、バランスよく数を増やしつつある。欧米のマーケットに追いつこうとする傾向が見られる。
この状況に追いつき、追い越すために、タグボートでも国内外で作家紹介の場を増やしていくつもりだ。
今後もタグボートは、Taipei Auction Center と手を組み、日本新進作家を台湾のマーケットに向けて紹介し続ける。
しかし、台湾で好まれる作品、売るための作品というよりは、日本の最新の作品を見せる場作りを意識して展示するつもりだ。
日本よりも中国市場に近く、よりアートを買うことに積極的な目の肥えたコレクターに向けて、作家の世界観を知るきっかけを提供していく。
そのために、実際の作品を展示しながら、タグボートの得意分野であるWEBを活用し、作家の情報をわかりやすく、繰り返し伝えるつもりである。
タグボートはこれからも「脱・オンラインギャラリー」を目指し、海外の顧客へダイレクトにアピールする方向へ舵を切っていく。